ひと涼み・うるおい スタイルBOOK
夏の快適マタニティライフ
妊娠中だからこそ気をつけたい、
熱中症予防のポイントとは?
妊婦 - 日常生活

妊娠中はとかく不安がつきもの。『たまごクラブ』青木編集長によれば、とくに熱中症のリスクが高まる夏場は「どういう点に気をつけたらいいのかわからない……」という声が数多く寄せられるそうです。そこで今回は、実際に妊婦さんが感じている悩みと併せて、妊娠中に気をつけるべきポイントをいくつか教えてもらいまいた。

青木里佳:「たまごクラブ」編集長。教育専門誌、週刊誌編集部を経て、2002年より「たまごクラブ」編集部に所属。08年より副編集長、12年より編集長。「たまごクラブ」は妊娠中からおなかの赤ちゃんのためにできることを提案したり、安産の新常識などを紹介したりするマタニティ向け月刊誌。中でも真夏の妊婦特集は毎年人気の企画です。
http://tamahiyo.jp
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妊娠中は熱中症になりやすい?
まず覚えておかなければならないのは、「妊婦さんは熱中症になりやすい」ということ。「妊娠すると体温調節に影響が出るため、熱中症や脱水症状の危険性が高まってしまうんです」(青木編集長)。妊娠後は妊娠前に比べて基礎体温が上昇するため、気温以上に体感温度が上がります。新陳代謝もよくなり、かなり汗をかきやすくなるため、妊娠全般を通じて適度の水分補給が必須。とくに妊娠初期はつわりのため、脱水症状には注意が必要です。水分すら摂取すると嘔吐してしまうくらい症状のひどい方では、さらに脱水が進行する危険性アリ! 「つわりだからしかたがない」と安易に考えず、医師に相談してください。
また、妊娠時は妊娠していない時に比べて基礎代謝が上がっている状態。そのぶん非常に疲れやすくなっており、いわゆる夏バテも起こしやすくなります。「めまいなどによる転倒の危険性も高まるので、普段からバランスの良い食生活と十分な睡眠、適度な運動を心がけて基礎体力のキープに努めてください。急な事態に備え、健康保険証と母子手帳を常に携帯することも大切です」(青木編集長)。 -
水分補給の目安は1日1.5リットル
ほとんどの妊婦さんを悩ませるのが「むくみ」。「体内の血液と水分のバランスが崩れやすいため、妊娠中は手足が非常にむくみやすいのですが、このむくみをいやがって水分を控えすぎてしまう妊婦さんも多いんです」(青木編集長)。でも前述のとおり、汗をかきやすい妊婦さんにとって適度な水分補給は絶対不可欠。大島医療センター産婦人科の安堂先生によれば、「1日に必要な水分量は尿量プラス500ミリリットル、およそ1.5リットル前後が目安」とのこと。適量以上に水分を控えるのではなく、締め付けの少ない服装やマッサージ、適切な運動や食生活を通じて上手に水分を排出することを覚えましょう。
緑茶やウーロン茶にはカフェインやタンニンが含まれています。1日2~3杯程度なら心配いりませんが、大量に飲むのは避けたほうがいいでしょう。スポーツドリンクはナトリウムが多く含まれており、熱中症予防に効果的ではありますが……「妊婦さんが日々の水分補給としてたくさん飲むには少し糖分が多すぎます。実際、『スポーツドリンクの飲みすぎで太っちゃった、どうしよう』なんて声も毎年たくさん寄せられます(苦笑)」(青木編集長)。とくに妊娠中は胎盤から出るホルモンの影響によりインスリンの作用が弱まっているので、糖尿病になりやすいというリスクも。炭酸飲料や清涼飲料水をはじめ、果汁100%ジュースといえど糖分の摂りすぎには十分注意してください。 -
腹帯はケースバイケースで
妊婦さんの普段の過ごし方としては、とにかく高温多湿の環境を避けることが一番大切ですが、同時に身体を冷やしすぎないようにすることも必要です。とくに腹部は冷えすぎてしまうと子宮収縮が起こりやすくなります。
そこで問題になるのが腹帯。「お腹をあっためてくれる」「腰まわりを固定してくれるから姿勢がラク」などの理由で愛用している妊婦さんも多いようですが、汗のかきやすい夏場はあせもの心配も。「最近はメッシュ素材など通気性の良いタイプの腹帯も充実しているほか、吸湿性が良く肌触りがここちよい『さらし』で代用する妊婦さんも増えています。他にも涼しく感じる素材のレギンスやレッグウォーマーなども各種メーカーから展開されているので、売り場を覗いてみるのも楽しいですよ」(青木編集長)。
ちなみに腹帯とは、そもそもは安産であるという戌に託して、お腹の赤ちゃんの無事を祈るという日本古来の風習から生まれたもの。医学的根拠に基づくものではないため、着用の是非はケースバイケースと言えそうです。「あまりに暑い場合、無理につける必要はまったくありません。あくまで自分自身が快適なほうを選んでください」(青木編集長)。