ひと涼み・うるおい スタイルBOOK
行楽シーズンの定番といえば、ドライブ!
エアコンを切ったときの
室内温度は何度になるか、ご存知ですか?
遊び - 夏のドライブ

夏休みといえば、海へ山へと、クルマで出かける方も多いのではないでしょうか? 猛暑の中でのドライブも、エアコンを効かせれば快適ですよね。でも、エアコンがなくなったら、どうなるでしょう? 車内はあっという間に灼熱の空間となるのです。もしそんな空間に、子どもやペットを残していたら……熱中症や脱水症状など、さまざまなリスクが考えられます。今回は日本自動車連合(JAF)で、交通環境について長年、調査研究に携わってきた吉村俊哉さんに、夏のドライブの注意点を伺いました。
吉村俊哉:日本自動車連盟 交通環境部 調査研究課主事。
日本自動車連盟(JAF)では、ドライブ時にトラブルに見舞われないような工夫やエコドライブなどについて、様々な普及活動を行っている。http://www.jaf.or.jp/
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夏場の駐車場、炎天下の車内は
とても危険な空間なのです!夏休みに入り、週末の渋滞もなかなか激しくなってきました。これがさらに厳しくなるのが、やはりお盆期間。例年、数十キロに及ぶ渋滞情報が新聞やテレビのニュースを賑わしていますね。「渋滞になることはわかっているけれど……」と思いながら、クルマで出かけられる人も多いのではないでしょうか?
確かに渋滞はストレスが溜まるもの。特にドライバーの方は集中力がとぎれないよう、適度な休憩を挟んでいただきたいものです。つまり高速道路を走行しているのであれば、サービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)で休憩を取っていただきたいということです。
さて、その際に知っておいていただきたいのが、停車中の車内温度がどうなっているか、ということ。走行中であれば、ほとんどの方がエアコンをかけ、快適な車内空間で過ごしているかと思います。しかしSAやPAでは、エンジンかけっぱなしのエアコンかけっぱなしというわけにはいきません。すると、もしその日が猛暑日だったりしたら、それまで快適だった車内も、あっという間に灼熱空間となってしまうのです。
JAFが、2006年の7月27日に行ったテストがあります。テストは、午前11時と午後1時の2回行いました。午前中の状況は、外気温30.4度、湿度62%というコンディション。このとき車内温度は42.9度、ダッシュボードは52.3度を記録しました。そして次に午後1時に計測しました。このときは外気温33.6度、湿度49%という状況。車内温度は51.7度。ダッシュボードの上は、実に68.5度まで上昇しました。
午前11時から午後1時の2時間で、外気温の上昇幅は3.2度だったのに対し、車内温度は8.8度、ダッシュボードでは16.2度も上昇したことになりますね。
もし、このような状況下に、小さなお子さんがいたら、どうでしょう? たとえ数分間であっても、非常に危険な状況になることが考えられるのです。 -
車内温度に注意してほしいのは、
実は秋も同じなのです!ここでみなさんに、ひと足早く、秋の行楽ドライブについての注意点もお話したいと思います。少し前から「シルバーウィーク」などと言われ、秋にも大型連休が取れるようになりましたね。それに合わせて、紅葉ドライブや温泉ドライブを楽しむ方もいるかと思います。秋といえば、比較的過ごしやすい時期で、暑さとは無縁と思うかもしれませんが、実はそうとは言い切れないのです。
こちらもJAFのテスト結果からご説明しましょう。やはり2006年10月17日に、夏にテストを行ったのと同じ場所で、車内温度の変化を検証しました。まずは午前10時。気温22.7度、湿度55%というコンディションでは、車内温度37.5度、ダッシュボードは52.3度を示していました。これでも、十分に暑いですよね! 続いて午後1時に計測しました。気温26.8度、湿度は44%でした。湿度は下がっているくらいだから、過ごしやすい状況と言えます。しかし、です。この時の車内温度は47.9度。ダッシュボードに至っては、65.1度だったのです。
つまり、秋の過ごしやすい時期だから……という先入観で、車内も快適だろうと考えてはいけないということです。日が差し、車内が温められれば、真夏と変わらないくらいの温度になるわけで、大変危険な状況になります。もし、お子さんなどを車内に残していたら、熱中症や脱水症状を起こす危険性だってあるのです。
実はこれ、春にも同じことが言えます。同年4月26日、外気温23.3度というコンディションで行ったテストでは、車内温度48.7度、ダッシュボード付近は、70.8度まで上昇。車内に置いておいた缶入り炭酸飲料が破裂しました。
つまり、春~夏~秋については、駐車中の車内環境は非常に暑くなります。繰り返しになりますが、決して小さなお子さんなど乗せたままクルマを離れることのないよう、お願いします。 -
トラブルなくドライブすることが、
夏の行楽ドライブの必須条件です!JAFでは、夏の行楽ドライブに出かける前に、特に以下の3つについてチェックしてほしいと説明しています。
まずは「タイヤの空気圧」チェックです。適正な空気圧が入っていないと、パンクなどに見舞われる可能性もありますし、燃費も悪くなります。ガソリンスタンドで必ず、チェックしましょう。次は「バッテリー液」です。夏はエアコンが活躍しますし、最近はカーナビやオーディオ機器など、車内の消費電力も増えています。ロングドライブの前には、バッテリー液の液量を確認するなど、メンテナンスを施してください。バッテリーは消耗品です。2年以上使用しているものは、劣化を疑い始めたほうがいいでしょう。そして3つめは「冷却液(LLC)」の補充です。エンジンを冷やすために必要なものなので、オーバーヒートを防ぐために、必ず液量をチェックしておきましょう。
そんなふうに用意周到にチェックしていても、トラブルに見舞われることもあります。高速道路で、万が一クルマが止まってしまったら、覚えておいてほしいことがあります。それは、「クルマの中にとどまっていない」ということ。前述のように、車内は暑くなりますから、そこにとどまっていることは危険です。また、たとえ路側帯に止めておいたとしても、後方から追突される可能性もあります。安全面から言えば、車外に出て、ガードレールの外側で救助を待つようにしてください。