ひと涼み・うるおい スタイルBOOK
見落としがちなペットの熱中症対策。
愛犬や愛猫の命を守るために、
飼い主が気をつけなければいけないこと。
ペット - 犬&猫の熱中症予防

真夏の猛暑は、人間だけでなくペットにとっても同じように過酷な状況。実は犬や猫も熱中症のリスクに晒されているんです。では具体的にどんなことに気を配るべきなのか。今回は、犬・猫それぞれの熱中症対策について、雑誌「いぬのきもち」「ねこのきもち」編集室の方に、誌面で紹介している実例やアイデアをいくつか教えてもらいました。
「いぬのきもち」編集室
愛犬と飼い主さんの「困った」を解決する生活総合誌。専門家が監修する正しいしつけやケアの仕方などを幅広く紹介するほか、読者の方の「いま知りたい!」という生の声を反映させたテーマを毎月企画。7月号では熱中症の具体的な予防法から緊急対処法も紹介している。http://www.benesse.co.jp/pets/dog/
「ねこのきもち」編集室
愛猫と飼い主さんの豊かな暮らしを提案する生活総合誌。行動やしぐさから愛猫の気持ちを理解するコツや、飼い主さんたちの成功談・失敗談など、ヒトと愛猫がもっと仲良く、健康に暮らすヒントがいっぱい。専門家が監修した8月号では熱中症&夏バテ対策の特集も行っている。http://www.benesse.co.jp/pets/cat/
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大切なのは「飼い主さんが熱中症にならぬよう気遣う」こと
犬や猫は、汗腺が足の裏の肉球など限られた部位にしかないため、人間のように全身で汗をかくことができません。つまり、熱が体にこもりやすいということ。体温調節が苦手なぶん、人間以上に熱中症のリスクが大きいとも言えます。
「犬は、肺にたまった熱い空気を吐き出し、涼しい空気を取り入れることで体温調節をしていますが、気温や湿度が高いと肺に熱がこもってしまい調節が難しくなります。高温多湿の環境はもちろん、高温と多湿、どちらか一方でも極端に高ければ熱中症にかかってしまうんです」(「いぬのきもち」編集室)。
「猫の祖先は地中海沿岸や砂漠地帯を住みかにしていたため、多少暑さには強いようですが、多湿は苦手。ちなみに猫は自分の体を舐めて体温を下げるという習性を持っているため、犬のように呼吸での体温調節はあまり行いません。猫がハァハァと呼吸をしている時はかなり深刻な状態である可能性が高いので気をつけてください」(「ねこの気持ち」編集室)。
共通して言えるのは、「飼い主さんのほうから常に気を配ってあげなければいけない」ということ。そもそも犬や猫は人間の言葉をしゃべれません。加えて、動物というのは本来的に、敵の襲撃から身を守るために体の不調を隠そうとする習性が備わっています。飼い主がようやく異変に気づいた時にはすでに手遅れ……ということも多いそう。大切なペットが命の危険に関わるような状況に陥る前に、複数の対策で「予防」を心がけることが肝心です。 -
犬が吠え続けている時は体温上昇に注意!
犬の熱中症リスクの場合、高温多湿の環境に加え、気をつけなければいけないのが「興奮による体温上昇」。見落としがちな点だけに、実際、手遅れになってしまうケースも多いのだそう。
「家の修繕のためにやってきた大工さんに興奮して、朝から吠えっぱなしの状態に。その後、声が聞こえなくなり、様子を見に行った時には気を失って倒れていた、という事例もありました」(「いぬのきもち」編集室)。
気温だけでなく、興奮しやすい状況に対しても気を配る必要があると言えます。また、犬が大好きなお散歩タイムも注意を要するところ。
「ポイントはいくつかありますが、時に気をつけたいのが時間帯。夏場は早朝か深夜など、必ず涼しい時間帯を選んでください。また、たとえ夜でも、風のない熱帯夜などは地面に熱気が残っていることも。散歩に行く際は実際にアスファルトを触って熱さを確認すること。靴を履いている人間と違って、犬は直接その上を歩くのだということをお忘れなく」(同編集室)。 -
猫が好む「高い場所」は熱気がたまりやすい
一般的に、猫は暑さを感じたら別の場所に移動しようとします。ところが困ったことに、猫が好んで行きたがるのは「高い場所」。上昇した熱気がたまって、気づかないうちに暑くなりやすいのだそう。
「棚の上など猫がよくのぼる場所に、通気性のよい素材やひんやりした素材のマットを敷いておいてあげるのも良いアイデアです。また、熱気がたまらないようにサーキュレーターや扇風機を使って空気を循環させるのも有効。ただしその場合は、猫がケガをしないよう、機器に専用のネットをかけたり設置場所を工夫してくださいね」(「ねこのきもち」編集室)。
他にも気をつけておきたいのが、暑い時期の脱水症状。身体の水分が蒸発しやすい夏場に飲水量が少ないと、体調不良や夏バテにつながりやすくなりますが、犬に比べて猫はあまり水を飲みません。そこで、猫が水に興味を持つような工夫を施してあげることも必要。
「水飲み容器を複数の場所に置き、猫が飲みたいと思った時にすぐ飲めるような環境をつくってあげるといいですよ。また、容器の中に氷を入れると、冷たさを気に入ってよく飲んでくれることもあります」(同編集室)。
犬も猫も同様に、老齢化すると体温調節が苦手になるので特に注意が必要です。「苦しそうに呼吸をしている」「体を触ると熱い」「ぐったりしている」などのサインが見られたら、すぐに受診を。愛犬&愛猫の命を守るのは他でもない、飼い主さんの使命であるということをお忘れなく。