ひと涼み・うるおい スタイルBOOK
決定版! これが夏場の業種別サラリーマン飯!!
足りない栄養素は職種でバラバラ
体調管理もビジネスマンの大事な仕事
食事 - サラリーマン飯

きびしい暑さが続く夏は、つい、冷たいものや栄養バランスの偏った食事を摂ってしまいがち。忙しく働くサラリーマンであれば、なおのこと偏食になる傾向があります。結果、夏バテになり、熱中症のリスクが上昇します。職種によって異なる足りない栄養素を効率的に摂取して、健康的に夏を過ごしましょう。

中津川かおり
管理栄養士。大学などで栄養学・調理学を教授するかたわら、レシピ開発や企画・フードコーディネイトも手がける。TV出演も多く、入手しやすい素材で、家庭でも簡単に作ることができる見た目も味も美味しいレシピを監修、提供している。
http://ameblo.jp/cocomane/
http://chouriryoku.jp/
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熱中症のリスクが高いビジネスマンは?
ギラギラと照りつける日差しの下、精力的に働くビジネスマンは熱中症の危険と隣り合わせ。そのなかでも特に、熱中症に気をつけた方がいい職種というのもあります。野外で過ごす時間の多い外回りの営業マンやガテン系の職人のほか、内勤中心でウィークデーは外に出ない人、不規則な生活リズムで働いている人などが挙げられます。
この中で、内勤中心のビジネスマンが含まれているのは意外だと思われる方もいるかもしれませんね。実は、一日中エアコンが効いている室内にいると、汗をかいて身体を冷やすということができません。そうなると身体に熱がたまって、熱中症になりやすくなってしまうのです。 -
生活習慣による栄養不足で熱中症に
熱中症の要因として考えられるのは、働く環境が影響して食べるものがかたより、夏に必要な栄養素が不足してしまうこと。不足しやすい栄養素というのは、ビジネススタイルによって異なります。
“外回りの営業の人”は、ランチにかける時間が少ないので、お店に入ったら簡単に食べられる丼や麺類などを注文することが多いですよね。麺類は、タンパク質やビタミンを含む野菜が少なくデンプン質が多いため、食べると糖質が過多になってしまいます。糖質をエネルギーに変える時には、ビタミンB1が使われます。その分、ビタミンB1が無くなって疲れやすくなってしまうのです。
“ガテン系の人”は、仕事で汗をかきやすいので、水分やナトリウム、カリウムが不足します。また、意外だと思われるかもしれませんが、鉄分も汗と共に流れ出てしまいます。鉄分が不足すると貧血になりますから、結果として疲れやすくなります。
“内勤中心の人”は、汗をかかないので代謝が落ちています。代謝が下がっている状態で、さらにエアコンが効いた室内にいれば汗をかく機会は無くなりますよね。汗をかかないということは、水分を取る機会が減って水分不足になります。すると、血流が悪くなって身体に熱がたまり、熱中症になりやすくなります。
“不規則な生活リズムで働いている人”は、欠食が多いため、栄養素のかたよりというよりは、全体的な栄養の摂取不足になりがちです。1日の食事の回数が少なくて、極端な人の場合、1日1食というのも考えられます。食事の回数が減ると、身体の細胞は飢餓状態になります。そうなると、栄養が体に入ってきた時、次にいつ栄養が入ってくるか分からないので、細胞が栄養を一生懸命吸収しようとします。これが続くと、太りやすくなったり、生活習慣病を引き起こします。その結果、血液がドロドロになって動脈硬化を招き、疲れやすくなったり、夏バテの原因になってしまうのです。 -
適正な栄養を摂取して熱中症を予防
熱中症を予防するには、職種ごとで不足しがちな栄養を、効果的に補給することが重要です。
“外回りの営業の人”は、丼ものであれば肉だけの牛丼ではなく、スタミナ丼のような豚肉と野菜がたっぷり入ったものを注文して下さい。スタミナ丼に大抵入っているネギやニラには、ビタミンB1の働きを助けるアリシンが含まれています。豚肉に含まれるビタミンB1との相性効果で、さらに疲労回復が期待できます。
“ガテン系の人”は、外回りの営業の人に比べてランチに時間をかけることができます。もし、外食するのであれば、定食を注文して下さい。外食なので多少塩分が多い場合もありますが、しっかり汗をかいているので、極端にソースや醤油をかけるのでなければ問題ないと思います。糖質代謝が必要なビタミンB1を多く含む豚肉のしょうが焼きなど、豚肉中心のメニューがベストです。カロリーも消費しているので、豚カツもいいかもしれませんね。
また、水分を摂るときは、カフェインやカテキンがたくさん入った緑茶やウーロン茶、珈琲はさけて下さい。カフェインやカテキンは、身体の中で鉄と結合して、尿と共に身体の外に出てしまいます。汗のほか、尿でも鉄分が失われてしまうので、麦茶やほうじ茶のようなカフェインやカテキンを含まないものを飲んで下さい。
“内勤の人”には、冷たい食べものだと、さらに代謝が下がり、熱を放出する機会がなくなるので、温かい料理がお勧めです。食事の時だけでも身体を温めて、ちょっとでも汗をかく方が夏バテ防止になります。温かい蕎麦であれば、とろろ蕎麦やオクラのトッピングなど、ネバネバした食材が入っているものがいいです。ネバネバのルチンという成分が、血管を強くしてくれます。
“不規則な生活リズムで働いている人”は、体質を改善する意味でも、食事の回数にこだわって欲しいですね。忙しい朝でも、食事という形ではなくても野菜ジュースを飲んだり、ヨーグルトだけでも構わないので、なにかしら胃に入れてあげて、少しでもエネルギーや栄養素が入ってくるんだよということを細胞に分からせてあげることが大切。また、食事の回数が少ないと食物繊維の摂取量はぐっと減るので、意識的に食物繊維の多い野菜や海草類を食べてください。栄養バランスの良い和食の定食などがお勧めです。 -
家でも作ることができる熱中症対策メニュー
豚とごぼうの丼
普段料理をしないビジネスマンでも作りやすいうえ、短い時間で簡単に食べられる丼です。お出しと卵のやさしい味わいの中、ささがきごぼうで食感にアクセントを持たせています。夏を乗り切るための栄養素が豊富なのはもちろんスタミナUPも期待できるので、野外での力仕事の前に食べるメニューとしても最適。
材料
・豚もも薄切り肉 100g
・ごぼう 1/4本
・玉ねぎ 1/4個
・卵 2個
・糸三つ葉 適宜
【A】
・だし汁 1/2カップ
・しょうゆ 大1/2
・砂糖 大1 1/2
・酒 大1
・塩 少々
・ごはん 300g
作り方
1
ごぼうはささがきにし、水につけてアクを取り、水けをきる。玉ねぎは薄切りにする。
2
豚肉は食べやすい大きさに切り、糸三つ葉は1cm長さに切る。
3
フライパンか小鍋にA、玉ねぎを入れて火にかけ、煮立ったら豚肉、ごぼうを加える。
4
再び煮立ったら卵を割りほぐして流し入れ、好みの固さに火を通し、仕上げる。
5
炊きたてのごはんを器に盛り、4をのせ、糸三つ葉を散らす。